X104  " つばめ "
―小さな工房から飛び立つ渡り鳥―




日本ゴム銃射撃協会の公式競技にはマッチボックス(MB)、フライシュート(FS)、コインペンドラム(CP)の3種類が存在する。
このうち、MB・FSは静標的、CPは動標的と呼ばれ、銃を使い分けるのが一般的となっている。

静標的用にはX101を開発したため、次は動標的用の機体開発が求められた。
そこで開発されたのが本機であるが、サイドフック式はベテランでも調整に手間取るといわれる難易度の高い型である。
そのため、今回は今後に向けて経験値を蓄えることを目的とし、とりあえずデザイン重視の設計を行っている。


まだまだ経験の浅い駆け出しメーカーの手さぐりの挑戦は果たしてどこまで通用するのか―




・要求性能

・CP競技に適したサイドフック式、瞬間開放式単発
・速射に適した短めの銃身長
・サイドフック特有の斜めの射線を最小限に抑える設計
・斜めの射線による照準の距離偏差を抑える照準器の配置
・照準が合わせ易い光学サイトの搭載
・愛機にふさわしいデザイン性


・諸元概要

型式番号 FCW-X104
コードネーム つばめ
方式 サイドフック瞬間解放式
装弾数 1
銃身長 175mm
全長 265mm
全高 195mm
全備重量 604g
素材 アルミ、真鍮、塩ビ、MDFほか
照準器 ダットサイト
電源 ボタン電池
ロールアウト 2014年12月
製作期間 2か月


・各部詳細

今回、本体には黒アルマイトのアルミ材を使用した。
色が変わるだけでも大分引き締まった印象を与える。

本体は3mm厚の5層構造でかなりボリュームがある。


機関部とホールドピンは真鍮製。

アルミ製と比較して耐久性と稼働の滑らかさが向上している。


604gと競技用としては重めだが、ミッドシップレイアウトのため、重量の割に取り回しは良好。
フックの復帰は本体右面の引きバネによって行われる。

この引きバネは、フックがニュートラルの位置んい来るときに自然長となるよう調整されており、フックを後方に押し倒すとバネが写真のように曲がり、まっすぐに戻ろうとする力でフックを復帰させる。

これによりリロード時に指がぶつかっても支障なく装填可能となっている。
本機の形状は、競技における使用を考慮して変則的なものになっている。


まず、レイヴンの使用経験から右利き用横掛け銃には斜め右方向に飛ぶ弾道の癖があることが判明していたため、
射線を正面に近づけるために、装填時に輪ゴムと本体ができるだけ平行になるよう設計し、
また弾道と照準の軸ズレを小さくするために、照準器を本体左側に飛び出すように配置、斜め右方向に向けている。


さらに、装填時にグリップが干渉しないよう、グリップが大きく右に張り出しているのも特徴だ。
ダットサイトを覗くとこのように見える。

ダットサイトは、ハーフミラーの向こう側の"1点"をポイントするものである。
従ってこれ単体では照準"線"は定まらず、これを補うためにサイト前方に針状の照準器を設置し、2つのポイントが重なる位置を"照準線"としている。


・デザインについて
デザインに当たっては、名前の通り燕をモチーフとしており、大きな翼と鋭く二又に分かれた尾部が特徴的である。

また、広い側面部が単調にならないよう外側のパネルも飾りになるようデザインされている。
さらに今回は黒アルマイト材を使用したことで、銀色の断面と黒い平面のコントラストがパーツの形状を効果的に際立たせている。




・あとがき
本機はレイヴンの後継機として実戦投入された。
しかし約1年にわたって運用するも、期待に反して結果は酷いものとなった。

命中精度が思いのほか低く、このままでは実戦に耐え得る状態とはとてもいえない。
何度もいじっているのだが、照準器の調整がいまいち上手くいっていないように思える。

早急に原因を究明し、後継機を開発する必要がありそうだ。


*改修計画を実施。
【改修型:X104kai "つばめ改"】

X104 "つばめ"